溶射 防食関係資料
それぞれの資料(1~3)は必ずしも一致した評価結果および基準にはなっていませんが、あくまで参考値としてご覧下さい。
尚、ここに掲載したものは当社で要約抜粋していますので、詳細は原本をご参照下さい。
1,ISO推奨仕様(要約抜粋)
異なった環境に推奨される最小皮膜厚さ
環境 | 溶射金属 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
亜鉛 | アルミニウム | Zn/AL15%合金 | AL/Mg 5%合金 | |||||
非塗装 | 塗装 | 非塗装 | 塗装 | 非塗装 | 塗装 | 非塗装 | 塗装 | |
塩水 | 不適 | 100 | 200 | 150 | 不適 | 100 | 250 | 200 |
淡水 | 200 | 100 | 200 | 150 | 150 | 100 | 150 | 100 |
都市環境 | 100 | 50 | 150 | 100 | 100 | 50 | 150 | 100 |
工業環境 | 不適 | 100 | 200 | 100 | 150 | 100 | 200 | 100 |
海洋雰囲気 | 150 | 100 | 200 | 100 | 150 | 100 | 250 | 200 |
乾燥屋内環境 | 50 | 50 | 100 | 100 | 50 | 50 | 100 | 100 |
Metallic and other inorganic coatings-Thermal spraying-Zinc, aluminum and their alloys
(Annex B) ISO 2063:1991 *上記仕様は同じ耐用年数を意味するものではない
2,BS 溶射耐用年数表(要約抜粋)
屋外使用環境の種類と、最初に補修を必要とする迄の年数が20年以上と予想する溶射仕様
屋外使用環境 | 溶射皮膜の種類 | |||
---|---|---|---|---|
溶射のまま | 封孔処理した溶射 | |||
アルミニウム | 亜鉛 | アルミニウム | 亜鉛 | |
非汚染内陸部 | 150 | 150 | 100 | 150 |
大気汚染内陸部 | 150 | 250 | 150 | 150 |
非汚染海岸部 | 150 | 250 | 150 | 150 |
大気汚染海岸部 | 250 | 350 | 150 | 250 |
構造物内部乾燥 | 100 | 100 | – | – |
構造物内部多湿 | 150 | 150 | 100 | 100 |
淡 水 | – | – | 150 | 150 |
海水飛散地帯 | – | – | 150 | 250 |
海水浸せき場所 | – | – | 150 | 250 |
(Code of Practice for Protective Coating of Iron and Steel Structures Against Corrosion.
BS 5493, 1977) 数値は平均膜厚 (当社注:最小膜厚は平均膜厚X0.7~0.8で換算し規定)
3,AWS 19年間曝露試験 (要約抜粋)
American Welding Society /19-Year Corrosion Test Report
この試験ではアルミニウム溶射が非常に高く評価されています。
1.アルミニウム溶射 最小膜厚80μmから150μmまで、封孔処理の有無に関係なくどちらも、海水中、過酷な海上雰囲気、工場雰囲気において母材を完全に腐食から保護した。 |
---|
2.亜鉛溶射 海水中で封孔処理なしで保護するには最小膜厚300μmが必要。過酷な海上雰囲気、工場雰囲気で封孔処理なしでは最小膜厚230μm、封孔処理ありでは最小膜厚80~150μm必要。 |
3.過酷な海上雰囲気では、ウオッシュプライマーとアルミビニルの組み合わせの封孔処理は亜鉛溶射の外観を良くし且つ寿命を少なくとも2倍延ばす。 アルミニウムに関しては、封孔処理の効果は主として外観の保持に役立つものである。 |
4.アルミニウム溶射は膜厚が薄いものの方がむしろ孔食や膨れが生じにくく良好であり寿命の延びが期待される。またビニルの樹脂も素地まで浸透しよりよい効果を発揮するようだ。 |
5.アルミニウム溶射皮膜は、皮膜に傷がいってダメージを受けても、腐食の進行を抑えているので、母材を電気化学的に保護していることを示唆している。 |
6.この試験で用いられた下地処理に関しては、溶射の防錆機能には影響は認められなかった。特にスチール-フラッシュ-ボンドコート(鋼線下地溶射)は必須のものではない。大きなものや膜厚が150μm以上の場合は、むしろ粗いブラスト材を用いるほうが推奨出来る |
7.アルミニウムおよび亜鉛のフレーム溶射皮膜は各種鉄鋼構造物の寿命を延ばす方法として推奨出来る。 |
塩化ゴムの封孔処理は、アルミニウムおよび亜鉛の両方のフレーム溶射皮膜ともに不満足な結果であった。 |
長門メタリコン 溶射・塗装推奨仕様表 B-310
加工 | 目的 | 使用環境等 | 仕様 |
---|---|---|---|
溶射 | 防食 | 大気中一般 | 亜鉛 (40~120μm) +ウレタン系塗装(ミストコート+2~3回塗) |
大気中海岸・工場地帯 | アルミニウム (75~120μm) +ウレタン系塗装(ミストコート+2~3回塗) |
||
水中50℃以下 | 亜鉛 (40~120μm) +エポキシ系塗装(ミストコート+2~3回塗) |
||
水中50℃以上 | アルミニウム (75~120μm) +シリコンエポキシ又は水ガラス (ミストコート+2~3回塗) |
||
酸性 | アルミニウム (75~120μm) +エポキシ塗装(ミストコート+2~3回塗) |
||
アルカリ性(50℃以下) | 亜鉛 (40~120μm) +エポキシ塗装(ミストコート+2~3回塗) |
||
水道水 | アルミニウム (75~120μm) +水道用エポキシ系塗装(ミストコート+2~3回塗) |
||
耐熱 | 空気中 550℃以下 | アルミニウム (120~200μm) +シリコンアルミ又は水ガラス封孔処理(2回塗) |
|
絶縁 | ホワイトアルミナ(200~500μm) | ||
導電 | 樹脂製電機部品 | 亜鉛 (80~120μm) +エポキシ系封孔処理(2回塗)+上塗1回 |
|
塗装 | 防食 | 屋外鉄鋼構造物等 | ジンクリッチペイント(有機又は無機) +エポキシ系・ウレタン系塗装(ミストコート+2~3回塗) フタル酸系又はエポキシ系又はウレタン系塗装 (下・中・上塗各1回) |
屋外亜鉛メッキ部 及び非鉄金属部 |
非鉄用エポキシプライマー+塩化ゴム系又はウレタン系上塗 非鉄用ウオッシュプライマー+塩化ゴム系下・中・上塗 |
||
水中(60℃以下) | エポキシ系厚膜塗装 ジンクリッチペイント(有機又は無機) +エポキシ系塗装(ミストコート+2~3回塗) |
||
温水 | シリコンエポキシ系塗装 | ||
水道水 | 水道用エポキシ塗装(2~3回) | ||
原油、重油 | エポキシ系厚膜塗装 | ||
ナフサ、ガソリン 及び灯油、軽油 |
厚膜無機ジンクリッチペイント 75μmのみ 又はエポキシ系厚膜塗装 無機ジンクリッチペイント+エポキシ系塗装 (ミストコート+2~3回塗) |
||
耐熱 | 400℃以下 | シリコン系下・上塗塗装(2回) ジンクリッチペイント(無機)+シリコン系塗装(2回) |
|
600℃以下 | シリコン系下・上塗塗装(2回) |
注1:特殊条件下の塗装仕様は、塗料メーカーと相談の上決定すること。
注2:塗料は同じ系統の樹脂でも、使用環境により適不適があるので必ず確認すること。
(例)同じエポキシ系でも耐水性、耐油性、耐薬品性等の強さは塗料によって異なる。
注3:表中の溶射膜厚は最小膜厚。塗装膜厚は、メーカー標準膜厚に準じる。
注4:屋外超長期用にはフッ素系塗料を用いても良い。